大切なご家族を亡くされた直後は、悲しみの中でも、役所や年金事務所への届出に追われることになります。特に「14日以内」を目安とする手続きは複数あり、気づかないうちに期限が近づいていることも少なくありません。
この記事では、1級FP技能士・CFP®の増島正典が、親が亡くなってから14日以内にやるべき年金・保険の手続きを、初めての方にもわかりやすく整理してお伝えします。
なぜ「14日以内」の手続きが多いのか
死亡届の提出(7日以内)が終わると、次にやってくるのが健康保険・年金・介護保険まわりの手続きです。健康保険や介護保険、世帯主変更などには14日以内を目安とする手続きが多くあります。一方で、年金は制度によって期限や届出の要否が異なります。まずは全体像を押さえておきましょう。
- 国民健康保険・後期高齢者医療制度の資格喪失手続き
- 世帯主変更届(該当する場合のみ)
- 年金受給者死亡届(必要な場合)・未支給年金の請求
- 介護保険の資格喪失手続き(主に65歳以上)
- 生命保険・医療保険の死亡保険金請求(この時期にあわせて着手するのがおすすめです)
順番に見ていきましょう。
① 国民健康保険・後期高齢者医療制度の資格喪失手続き
亡くなった方が国民健康保険、または後期高齢者医療制度に加入していた場合、お住まいの市区町村役場へ資格喪失の届出が必要です。多くの自治体では14日以内を目安としていますが、運用は自治体によって異なる場合があるため、窓口で確認しておくと安心です。
このとき、資格確認書など、市区町村から交付されたものがある場合は返却しましょう(紙の健康保険証はすでに廃止されており、現在は資格確認書や資格情報のお知らせなど、自治体によって交付物が異なります)。あわせて、葬祭費や高額療養費の払い戻しを請求できる場合がありますので、窓口でまとめて確認することをおすすめします。自治体によっては、高額介護合算療養費など、ほかにも還付を受けられる場合があります。
なお、会社員として社会保険(健康保険組合・協会けんぽ)に加入していた場合は、勤務先を通じて資格喪失手続きが行われるのが一般的です。
② 世帯主変更届
亡くなった方が世帯主だった場合は、14日以内に世帯主変更届の提出が必要です。
ただし、残された世帯員が1人だけの場合(配偶者のみ、あるいはお子さん一人だけなど)は、その方が自動的に世帯主となるため、原則として届出は不要です。国民健康保険の手続きと同じ窓口で行えることが多いので、あわせて確認するとスムーズです。
③ 年金受給者死亡届・未支給年金の請求
年金受給者が亡くなった場合、以前は死亡届の提出が必要でしたが、現在は、日本年金機構が死亡を確認できる場合には、原則として年金受給者死亡届の提出は不要です。マイナンバーの未登録などで確認できない場合には、提出が必要となることがありますので、提出が必要かどうかを、お近くの年金事務所や年金相談センターに確認しましょう。
特に見落としやすいのが「未支給年金」の請求です。
年金受給者が亡くなった月までの年金で、まだ支払われていないものは、一定の要件を満たす遺族が「未支給年金」として請求できます。年金は後払い(偶数月払い)のため、亡くなった月までの分が未払いとして残ることがあります。死亡届の要否とは別の手続きになるため、忘れずに行いましょう。時効は5年ですが、できるだけ早めに手続きすることをおすすめします。
一方で、逆のパターンにも注意が必要です。亡くなった後の期間に対応する年金が振り込まれてしまった場合は、その過払い分を返還する必要があります。「未支給年金」は受け取れるお金、「過払い年金」は返すお金——この2つはセットで覚えておきましょう。
④ 介護保険の資格喪失手続き
介護保険の被保険者証をお持ちの方(主に65歳以上の方)が亡くなった場合は、介護保険被保険者証を返却し、市区町村役場で資格喪失の手続きを行う必要があります。多くの自治体では14日以内を目安としています。また、保険料の還付(払い戻し)や追加納付が発生する場合がありますので、窓口であわせて確認しておきましょう。
⚠️ ここで、とても重要なポイントがあります。介護保険の被保険者証は、返却する前に必ずコピーを取っておいてください。被相続人が要介護認定を受けていた場合、相続税の小規模宅地等の特例を適用する際に、要介護認定の証明として介護保険証の写しが必要になることがあります。返却してしまってからでは入手できませんので、忘れずにコピーをとっておきましょう。
⑤ 生命保険・医療保険の死亡保険金請求
生命保険や医療保険については14日以内という法定期限はありませんが、この時期にあわせて早めに着手することをおすすめします。
契約している保険会社に連絡し、必要書類(死亡診断書のコピーなど)を確認しましょう。多くの生命保険では、保険金請求権の時効は3年とされていますが、契約内容によって異なる場合がありますので、必ず確認が必要です。連絡を後回しにしてしまい、時効を迎えてしまうケースも実際にありますので、注意してください。
「14日を過ぎたらもう手続きできない」は誤解です
「期限を過ぎたら一切手続きができなくなるのでは」と不安になる方もいらっしゃいますが、これは正確ではありません。多くの手続きは、期限を過ぎても対応可能です。
ただし、放置してしまうと保険料の過払いや重複請求などのトラブルにつながることがあります。期限を過ぎてしまった場合でも、気づいた時点でできるだけ早く手続きすることが大切です。
まとめ:14日以内にやることチェックリスト
- ① 国民健康保険・後期高齢者医療の資格喪失届(資格確認書などの返却も)
- ② 世帯主変更届(該当する場合のみ)
- ③ 年金受給者死亡届(必要な場合)+未支給年金の請求
- ④ 介護保険の資格喪失届(主に65歳以上が対象)
- ⑤ 生命保険・医療保険会社への連絡・請求
慣れない手続きが重なる時期ですが、ひとつずつ整理すれば、決して難しいものではありません。特に、未支給年金の請求は見落としやすいので、忘れずに確認してください。
相続のことは、一人で抱え込まないでください。ご不明な点があれば、LINE公式アカウントからお気軽にご相談ください。
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増島正典(ますじま まさのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®認定者 / 不動産・相続コンサルタント
不動産業界32年の経験をもとに、相続・老後のお金の不安をわかりやすく解消します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法務・税務判断を保証するものではありません。手続きの要否や期限は自治体・制度によって異なる場合がありますので、具体的なケースは各窓口や専門家にご確認ください。
CFP®、CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®、およびサーティファイド ファイナンシャル プランナー®は、米国外においてはFinancial Planning Standards Board Ltd.(FPSB)の登録商標で、FPSBとのライセンス契約の下に、日本国内においてはNPO法人日本FP協会が商標の使用を認めています。


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