大切な方を亡くされた直後、頭が真っ白になる感覚は、多くの方が経験します。
悲しみの中でも、動き出さなければならない。そのことへの申し訳なさと、「何から手をつければいいのかわからない」という焦りが重なって、気持ちが追いつかないまま時間だけが過ぎていく——。
そんな状況に置かれたあなたに、まず伝えたいことがあります。
最初から完璧にやらなくて大丈夫です。順番さえわかれば、必ず一歩踏み出せます。
この記事では、亡くなってから7日以内に必ずやるべきことを、実務レベルで丁寧にお伝えします。
同じ内容を動画でも解説しています。読むより聞く方が楽なときは、こちらをご覧ください。
▶ 動画で見る:葬儀社に任せていいこと・自分でやるべきこと(相続90日プロジェクト 第10回)
なぜ「7日以内」なのか
死亡届は、法律で7日以内に提出することが義務づけられています(戸籍法第86条)。
正確には「亡くなった日から」ではなく、「亡くなったことを知った日から7日以内」です。多くの場合は亡くなった日と同じですが、遠方にお住まいで後から知らされた場合などは、知った日から数えます。なお、国外で亡くなった場合は、その事実を知った日から3か月以内です。
この届け出がなければ、火葬を行うことができません。
つまり、死亡届の提出 → 火葬許可証の取得 → 葬儀・火葬という流れが、7日以内に動き始める必要があります。
ただし、火葬場の混雑などで葬儀が7日以内に行えないケースもあります。それは問題ありません。大切なのは、死亡届を7日以内に提出し、火葬許可証を受け取っておくことです。
① 死亡診断書のコピーを取る(提出前に必ず)
死亡届を提出する前に、必ずやっていただきたいことがあります。
死亡診断書のコピーを3〜5枚取っておくことです。
死亡診断書は、死亡届と一体になった書類です。役所に提出すると原本は手元に残りません。
「コピーを取っておけばよかった……」と後悔する方も少なくありません。
亡くなった直後は慌ただしくなりますので、提出前にコピーを取っておくことを強くおすすめします。
なお、死亡診断書は作成した医療機関に依頼すれば再交付してもらえる場合があります。ただし、手数料がかかり、すぐに発行されないこともあります。そのためやはり、提出前のコピーが最も確実です。
死亡診断書(死体検案書)のコピーを求められる手続きもあります。たとえば、次のような場面です。
- 生命保険の請求
- 年金の手続き(未支給年金の請求など)
✅ 提出前に3〜5枚コピーを取る。これだけは必ず守ってください。
かつては10枚以上必要と言われていましたが、マイナンバーカードの普及や手続きの見直しにより、以前ほど多くの枚数は必要なくなってきました。それでも少なすぎるより多い方が安心です。
※ 事故や自死など、病死以外で亡くなった場合は「死亡診断書」ではなく「死体検案書」が発行されます。書式や役割は同じですので、同じようにコピーを取っておいてください。
② 死亡届の書き方と提出先
死亡届は、A3サイズの用紙の右半分が死亡届、左半分が死亡診断書という構成になっています。
死亡診断書の部分は医師が記入しますので、遺族が記入するのは死亡届の部分のみです。
記入が必要な主な項目:
- 亡くなった方の氏名・生年月日・住所
- 死亡した日時・場所
- 届出人(遺族)の氏名・住所・続柄
記入が難しい箇所は、葬儀社のスタッフがサポートしてくれます。一人で抱え込まず、遠慮なく確認してください。
届出人になれる方:
同居の親族/同居していない親族/その他の同居者/家主・地主・家屋や土地の管理人/後見人・保佐人・補助人・任意後見人など
ここで一つ、誤解されやすい点があります。葬儀社は「届出人」にはなれません。実務では葬儀社が役所へ提出してくれることがほとんどですが、これは遺族が署名した死亡届を代わりに持参してくれるという意味です。届出人の欄に署名するのは、あくまでご遺族です。
提出先:亡くなった方の本籍地、死亡地、または届出人の所在地の市区町村役場
⚠️ 役場の窓口は通常、平日の昼間しか開いていませんが、死亡届は夜間・休日でも受け付けています。ただし、内容確認は翌開庁日になる場合があります。急ぎの場合は事前に確認してみてください。
③ 火葬許可証の取得と使い方
死亡届を提出すると、その場で火葬許可証が交付されます。
この許可証がなければ、火葬を行うことができません。葬儀当日に火葬場へ提出する重要な書類ですので、紛失しないよう大切に保管してください。
火葬後、この許可証には火葬済みの証明がされて返却されます。この返却された許可証が、そのまま納骨の際に必要となる書類です(「埋葬許可証」と呼ばれることもあります)。
実務上は、葬儀社のスタッフが死亡届の提出から火葬許可証の受け取りまでをまとめて対応してくれることがほとんどです。任せて問題ありません。
✅ 火葬許可証は葬儀社に渡してOK。紛失だけ注意。
④ 葬儀社との連絡・日程調整
亡くなった直後、最初に連絡するのは葬儀社です。
病院で亡くなった場合、看護師や病院スタッフから「葬儀社はお決まりですか?」と確認されます。事前に決めていない場合でも、病院が提携している葬儀社を紹介してもらえることがあります。
葬儀社が決まると、以下を相談しながら日程を決めていきます。
- 遺体の安置場所
- 通夜・告別式の日程
- 火葬場の空き状況
- 参列者の規模・葬儀の形式
火葬場の混雑について:
都市部では火葬場が込み合っていて、1週間以上待つケースもあります。葬儀の日程は火葬場の空き状況に左右されますので、葬儀社と早めに確認してください。7日以内に葬儀が行えなくても、死亡届さえ提出していれば問題ありません。
⑤ 葬儀の領収書は必ず保管する
葬儀が終わったら、領収書を必ず受け取り、保管しておいてください。
相続税の申告が必要な場合、一定の葬式費用は相続税の計算上、債務控除の対象になります。
領収書は必ず保管しておきましょう。万が一、領収書がない場合でも、支払先や金額が分かる記録は残しておくことが大切です。
控除の対象になりうる費用:
- 通夜・告別式にかかった費用
- 火葬・納骨にかかった費用
- ご遺体の搬送費用
- お布施・読経料など(領収書がない場合は、支払先・金額・日付をメモに残しておきましょう)
対象にならない費用:
- 香典返しの費用
- お墓や仏壇の購入費用
- 法要にかかった費用
⚠️ 「相続税はうちには関係ない」と思っていても、念のため保管しておくことをおすすめします。後から必要になるケースは少なくありません。
7日以内のチェックリスト
- ☐ 死亡診断書のコピーを3〜5枚取った(提出前に)
- ☐ 死亡届を市区町村役場へ提出した
- ☐ 火葬許可証を受け取った(葬儀社へ渡した)
- ☐ 葬儀社と日程・形式を確認した
- ☐ 葬儀の領収書を保管した
まとめ
7日以内にやることは、大きく5つです。
- 死亡診断書のコピーを3〜5枚取る(提出前に必ず)
- 死亡届を役所へ提出する(葬儀社がサポート)
- 火葬許可証を受け取る(死亡届提出時に交付・火葬後は納骨に使う)
- 葬儀社と日程・形式を確認する
- 葬儀の領収書を保管する
この5つのうち、①から③は葬儀社が担ってくれます。ご自身で意識していただきたいのは、死亡診断書のコピーと葬儀の領収書の保管の2つです。
最初から完璧にやらなくて大丈夫です。順番さえわかれば、必ず一歩踏み出せます。
動画でも解説しています
この記事の内容を、約10分の動画にまとめました。手続きの合間に、聞き流していただくこともできます。
▶ 葬儀社に任せていいこと・自分でやるべきこと(相続90日プロジェクト 第10回)
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