「口座って、すぐ凍結されるの?」
「生活費はどうしたらいいの?」
「葬儀代、口座から出していいの?」
親が亡くなった直後、こんな不安を感じる方はとても多いです。
実は、これらの不安には、正しく知っておけば安心できる答えがあります。この記事でひとつずつ解消していきましょう。
まず知っておいてほしいこと——無断引き出しは危険です
実際の現場では、こんなトラブルが起きています。
「相続人の一人が、他の人に黙って口座からお金を引き出していた」というケースです。こうした行為は、最悪の場合、裁判に発展することもあります。
「知らなかった」では済まされないケースもありますので、正しい知識をしっかり身につけていただきたいと思います。
よくある誤解——「死亡届を出したら即凍結」は間違いです
「死亡届を出したら、すぐ口座が凍結される」と思っている方が非常に多いのですが、これは間違いです。
役所と銀行はリアルタイムで情報共有していません。ですから、死亡届を出した瞬間に口座が止まるわけではないのです。
正確には、金融機関が預金者の死亡を把握すると、通常は相続手続きのために預金口座を利用停止(凍結)します。ただし、法律で「死亡を知ったら必ず即時凍結する」と義務付けられているわけではありません。
では、なぜ銀行はすぐに凍結しないのか
銀行が死亡情報を把握するまでは、通常どおり口座を管理しています。死亡届を提出しただけでは直ちに利用停止にはなりません。つまり「制度として止めない」のではなく、「銀行が知らないから止められない」というのが実態です。
銀行が死亡を把握する主なきっかけは、遺族からの連絡や、新聞のお悔やみ欄などです。
⚠️ ただし、「凍結されるまで自由に使っていい」ということには絶対になりません。この点は非常に重要ですので、後ほど詳しくお伝えします。
凍結前に確認しておくべき3つのこと
凍結される前に、落ち着いて以下の3つを確認しておきましょう。
- 当面の生活費の確保
- 引き落とし口座の把握(公共料金・保険料など自動引き落としの口座)
- 口座・通帳・カードのリスト化
慌てて動くのではなく、まずこの3つを確認することが大切です。
金融機関への届け出に必要な書類
銀行への届け出には、複数の書類が必要になります。
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 通帳・キャッシュカード
必要書類は金融機関によって異なります。遺言書や相続届、本人確認書類などが追加で求められる場合もありますので、事前に各銀行へ確認しておくとスムーズです。書類の収集には時間がかかりますので、早めに動き始めることをおすすめします。
遺産分割前でも引き出せる「仮払い制度」を活用しよう
2019年から、遺産分割が終わっていなくても一定額を引き出せる「仮払い制度」が始まりました。
引き出せる上限額は、預金残高 × 1/3 × 法定相続分で計算します。1つの金融機関につき最大150万円までとなっています。
例えば、残高が300万円で配偶者の場合、50万円まで引き出すことができます。急な出費が必要な時に、ぜひ活用してください。
絶対に知っておいてほしいこと——無断引き出しは法的トラブルの原因に
亡くなった方の預金は相続財産となり、相続人全員に関係する財産になります。
一人で勝手に引き出すと、相続人間で不当利得返還請求や損害賠償の問題になることがあります。遺産分割協議でも大きなトラブルに発展しやすく、悪質なケースでは民事・刑事上の問題になることもあります。「凍結されていないから大丈夫」という考えは通用しません。
✅ 必ず相続人全員で話し合い、正しい手続きを踏んでください。
まとめ——5つのポイント
- 凍結は死亡届ではなく、銀行が知った時点で起こる
- 凍結前に生活費・引き落とし口座・通帳をリスト化する
- 手続きには戸籍謄本など複数の書類が必要。早めの準備を
- 仮払い制度を使えば、遺産分割前でも一定額を引き出せる
- 無断引き出しは法的トラブルの原因になる
確認チェックリスト
- ☐ 生活費・引き落とし口座・通帳を確認した
- ☐ 公共料金や年金の入出金口座を確認した
- ☐ 相続人全員に連絡した
- ☐ 必要書類の収集を始めた
- ☐ 仮払い制度の活用を検討した
- ☐ 無断引き出しをしていないことを確認した
相続のことは、一人で抱え込まないでください。
大切な方を亡くされた悲しみの中で、こうした手続きに向き合っているあなたのことを、心から応援しています。
次回は、7日以内にやること(死亡届・火葬許可書の実務)についてお伝えします。
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増島正典(ますじま まさのり)
1級FP技能士・CFP® / 不動産・相続コンサルタント
不動産業界32年の経験をもとに、相続・老後のお金の不安をわかりやすく解消します。

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