「親が亡くなったけど、何をすればいいの?」「手続きが多いって聞くけど、どこから始めたらいいの?」

そんな風に戸惑っている方は、とても多いです。でも、大丈夫。「全部いっぺんにやらなきゃ」と焦る必要はありません。今のあなたに必要なことを、ひとつずつ、順番にお伝えしていきます。

亡くなった直後にやること

⏰ 7日以内

葬儀社に連絡する
ご遺体の搬送・お通夜・葬式・火葬の手続き、参列者への対応など、ほぼすべてお任せできます。

死亡届を役所に提出する(7日以内)
病院からもらう「死亡診断書」を持って、役所の窓口へ。これをもとに「火葬許可証」が発行されます。提出は葬儀社が代行してくれる場合がほとんどです。

健康保険証の返却・年金受給の停止
亡くなった方の健康保険証を役所へ返却します。年金を受け取っていた場合は、年金事務所(または年金相談センター)へ速やかに連絡し、受給停止の手続きをします。停止が遅れると、後日「過払い分の返還」を求められます。

📌 ポイント

葬儀社は「何をすればいいかわからない」と伝えれば、流れを丁寧に教えてくれます。ただし、病院から紹介された葬儀社をそのまま選ぶと割高になるケースもあります。可能であれば事前に複数社の見積もりを確認しましょう。

遺言書の確認と銀行口座の把握

⏰ 葬儀後、できるだけ早めに

遺言書を探す
自宅の金庫・引き出し・貸金庫などを確認します。「公正証書遺言」があるかどうかは、最寄りの公証役場に問い合わせれば調べられます(2021年以降はオンライン検索も可能)。

自筆遺言書は家庭裁判所で「検認」を受ける
自筆の遺言書が見つかったら、開封せずにそのまま家庭裁判所へ。「検認」の申立をすることで、遺言書の内容を公式に確認・保全します。法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用していた場合は検認不要です。

銀行口座の状況を把握する
銀行に死亡を連絡すると口座が凍結され、引き出しができなくなります。葬儀費用や当面の生活費は、連絡前に別途準備しておきましょう。なお、2019年の法改正により、遺産分割前でも一定額は仮払いで引き出せる制度があります。

⚠️ 要注意

自筆の遺言書を自分で開封してはいけません。検認を経ずに開封した場合、遺言書が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料(罰則)の対象となる場合があります。また、改ざん疑惑など相続人間のトラブルに発展するリスクもあります。見つけたらすぐに家庭裁判所に相談しましょう。

相続人の確定と財産の調査

⏰ 1ヶ月以内を目安に

戸籍謄本を集めて相続人を確定する
亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取り寄せ、法定相続人(誰が相続する権利を持つか)を確定します。「法定相続情報証明制度」を利用すると、一覧図を作成でき、各機関への提出が簡便になります。

プラスの財産を調べる
不動産(固定資産税納税通知書・登記簿謄本で確認)、預貯金(通帳・銀行カード)、有価証券(証券会社からの郵便物)、生命保険(保険証券)、その他動産(自動車・貴金属など)を一覧にまとめます。

マイナスの財産(負債)も必ず調べる
住宅ローン・カードローン・連帯保証債務など。信用情報機関(CIC・JICC)への照会や、郵便物の確認が有効です。借金が多い場合は、次のSTEPの選択に影響します。

💡 ポイント

財産調査はSTEP4の「相続するかどうかの判断」に直結します。特に負債の調査は、期限(3ヶ月)を意識しながらできるだけ早く進めましょう。不動産の評価は路線価・固定資産税評価額などを参考にします。

相続の方法を選ぶ(3ヶ月以内)

⏰ 相続開始を知った日から3ヶ月以内(民法915条)

相続には3つの方法があります。財産と負債のバランスを見て選択してください。

① 単純承認

プラス・マイナス両方の財産をすべて引き継ぐ。特に手続き不要(3ヶ月以内に何もしなければ自動的にこれになる)。

② 限定承認

プラスの財産の範囲内でのみ負債を返済する方法。財産が残ればもらえる。相続人全員での申立が必要(家庭裁判所)。

③ 相続放棄

財産も負債も一切引き継がない。借金が多い場合に有効。各相続人が単独で申立できる(家庭裁判所)。

※ ②限定承認・③相続放棄ともに、家庭裁判所への申立期限は「自分が相続人であることを知った時から3ヶ月以内」です。3ヶ月以内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の延長」を申請できます。

⚠️ 限定承認の注意点

限定承認は相続人全員が共同で申立しなければなりません。一人でも反対する相続人がいると選択できません。また、申立後は「相続財産管理人」を選任し、財産の清算手続きが必要になるなど、単純承認・相続放棄に比べて手続きが複雑です。司法書士・弁護士への相談をおすすめします。

📌 相続放棄後の注意点

相続放棄をしても、相続財産を管理する義務は残ります(次の相続人が管理できるようになるまで)。また、放棄した結果、次順位の相続人(兄弟姉妹など)に相続権が移ることがあるため、事前に親族への連絡を検討しましょう。

準確定申告(被相続人の所得税申告)

⏰ 相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内

亡くなった方の代わりに確定申告を行う
亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに申告します。給与所得者でも、年金収入が400万円超・不動産収入・株の売却益などがあった場合は申告義務があります。

申告先・申告方法
亡くなった方の住所地を管轄する税務署に、相続人全員が連署した「準確定申告書」を提出します。相続人が複数いる場合は、代表者が申告し、他の相続人に「申告した旨の通知」を行う必要があります。

還付になるケースも多い
年の途中で亡くなると源泉徴収税が過払いになっていることが多く、申告することで税金が戻ってくる(還付)ケースも少なくありません。医療費控除・社会保険料控除・生命保険料控除なども申告時に適用できます。

⚠️ 要注意

期限(4ヶ月以内)を過ぎると延滞税・無申告加算税のペナルティが発生します。早めに源泉徴収票・医療費の領収書・生命保険料控除証明書などを集めておきましょう。手続きに不安がある場合は、税理士への相談をおすすめします。

遺産分割協議と協議書の作成

⏰ できるだけ早めに(相続税申告の10ヶ月以内を目安に)

相続人全員で話し合いをする(遺産分割協議)
「誰がどの財産を受け取るか」を相続人全員で話し合います。遺言書がある場合はその内容が優先されますが、相続人全員が合意すれば遺言と異なる分割も可能です。

遺産分割協議書を作成し、全員が署名・実印で押印する
話し合いで決まった内容を「遺産分割協議書」として書面化します。相続人全員の署名と実印が必要です。この書類は、銀行の解約・不動産の名義変更・各種相続手続きで必ず必要になります。

話し合いがまとまらない場合は調停・審判へ
相続人同士で合意できない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申立できます。調停でもまとまらなければ「審判」となり、裁判所が分割方法を決定します。

⚠️ 要注意

遺産分割は揉める前に早めに動くことが大切です。長期間放置すると、相続人が亡くなって次の世代が加わり、より複雑になります。また、未分割のまま相続税申告期限を迎えると、一部の税制優遇(小規模宅地の特例など)が適用できなくなる場合があります。

各種財産の名義変更・解約・受取手続き

⏰ 遺産分割協議書完成後、速やかに

預貯金の解約・払戻し
各銀行・郵便局の窓口で手続きします。遺産分割協議書・相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明書などが必要です。銀行によって必要書類が異なるため、事前に確認しましょう。

有価証券(株・投資信託など)の名義変更・売却
証券会社に相続手続き依頼書を提出します。相続した株は、いったん相続人名義に変更してから売却します(相続時の評価額が取得価額となる場合があります)。

生命保険金の受取手続き
生命保険は「受取人固有の財産」として遺産分割の対象外となる場合がほとんどです。保険証券を確認し、保険会社に連絡して請求手続きを行いましょう。請求期限(原則3年)があるため、忘れずに手続きをしてください。

自動車の名義変更
相続した自動車は、陸運局(軽自動車は軽自動車検査協会)で名義変更します。名義変更前に使用するとトラブルになる場合があるため、早めに手続きしましょう。

💡 ポイント

戸籍謄本・遺産分割協議書・印鑑証明書は複数セット準備しておくと、複数の機関への提出がスムーズです。「法定相続情報一覧図」を活用すると、戸籍謄本の束の代わりに使える場面が増えます。

相続税の申告・納付

⏰ 相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内

まず「相続税がかかるかどうか」を確認する
相続財産の総額が基礎控除額を超えると、相続税の申告が必要になります。下の計算式で目安を確認してみてください。

📐 相続税の基礎控除額(目安)

3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

例:法定相続人が妻と子ども2人(計3人)の場合
→ 3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円 が基礎控除
財産の合計がこの金額を超えなければ、相続税はかかりません。

申告が必要な場合は税理士に相談する
相続税の申告は複雑で、不動産の評価・各種特例(配偶者の税額軽減、小規模宅地の特例など)の適用によって税額が大きく変わります。税理士に依頼することで、適正な節税と正確な申告が可能です。

現金で一括納付が原則(例外あり)
相続税は原則として現金一括払いです。納付が困難な場合は「延納(分割払い)」や「物納(不動産などで払う)」の制度を利用できる場合があります。

⚠️ 要注意

10ヶ月の期限を過ぎると延滞税・加算税のペナルティが発生します。また、「小規模宅地の特例」などは申告期限内に申告することが適用条件になっているため、期限厳守が必須です。

不動産の名義変更(相続登記)

⏰ 相続を知った日から3年以内(義務)

2024年4月から相続登記が義務化された
不動産を相続したことを知った日から3年以内に、法務局で名義変更(相続登記)の手続きが必要です。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料(罰則)の対象となります。

遺産分割前でも「相続人申告登記」で暫定対応できる
話し合いがまとまっていなくても、「相続人申告登記」を法務局に申し出ることで、義務違反とならない措置が取れます。この制度を活用しながら、並行して遺産分割協議を進めましょう。

手続きは司法書士に依頼するのが一般的
必要書類の収集・申請書の作成など、手続きが煩雑なため、司法書士への依頼がスムーズです。費用は不動産の評価額や件数によって異なりますが、数万〜十数万円が目安です。

あなたは今、どのステップにいますか?

やることが多くて不安に感じるのは、当然のことです。
でも、ひとつひとつ順番に進めれば、必ず乗り越えられます。

STEP1 亡くなった直後(7日以内)STEP2 遺言書・口座の確認STEP3 相続人確定・財産調査STEP4 相続の方法を選ぶ(3ヶ月以内)STEP5 準確定申告(4ヶ月以内)STEP6 遺産分割協議・協議書の作成STEP7 各種名義変更・解約・受取STEP8 相続税の申告・納付(10ヶ月以内)STEP9 不動産名義変更(3年以内)

「この手続きがよくわからない」と感じたら、一人で悩まず専門家に相談することをおすすめします。
早めに動くほど、選択肢は広がります。

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