【第1章】その日、突然に
「お母さん、落ち着いて・・・!」
息子の声が遠くで響いていた。
私はただ座り込んで、スマホの画面を
見つめていた。
病院からの電話。
「ご主人が・・・亡くなられました」
頭の中が真っ白になり、何をどうすれば
いいのか分からなかった。
【第2章】やらなきゃいけないことが多すぎる
葬儀が終わり、死亡届も役所へ提出済み
(※通常は葬儀の前に提出)。
でも、手続きはまだまだ続く。
「これからどうすればいいの?」
そんな不安を抱えながらも、
一つずつ整理していくことにした。
✅ 死亡届の提出について
・死亡届は、親族や同居人などの
「届出義務者」が役所に提出します。
・実際には多くの場合、葬儀社が代行
してくれます。
・医師が記入した死亡診断書と一体の
様式になっています。
・提出先は、本籍地・死亡地・届出人
の住所地の市区町村役所です。
📌 ワンポイントアドバイス:
死亡届の控えや死亡診断書のコピーは、
後の手続きで必要になる場合もある
ため、あらかじめ複数部用意して
おくと安心です。
【第3章】遺言書を家庭裁判所で検認
夫の遺言書は生前に専門家に相談して
作成していたため、家庭裁判所での
検認手続きもスムーズに進みました。
📌 遺言書を見つけても、
勝手に開封しないこと!
・開封してしまうと無効になる可能性が
あります。
・まずは家庭裁判所で「検認」の手続き
を行います。
📌 検認とは?
・相続人に遺言書の存在と内容を知ら
せる手続きです。
・遺言書の形状や署名などを確認し、
偽造・変造を防ぐために行います。
・遺言の有効性を判断するものでは
ありません。
📌 検認の流れ
① 家庭裁判所に申立て
→ 相続人へ検認期日を通知
② 期日当日
→ 裁判官が立会いのもとで
遺言書を開封・確認
③ 検認済証明書を取得
→ 相続手続きを進めるために必要
(1通150円の収入印紙が必要)
✅ 検認後、遺言書を使って正式に
相続手続きが可能になります。
🔹 遺言書の種類による違いにも注意!
✅ 自宅で発見された遺言書の場合
・「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」
である可能性が高く、どちらも
家庭裁判所での検認が必要です。
✅ 法務局に保管されている
自筆証書遺言の場合
・「自筆証書遺言書保管制度」を利用
していれば、検認手続きは不要
です。
・ この制度を使うと、偽造・紛失の
心配が減り、スムーズに手続きが
進められます。
✅ 公正証書遺言の場合
・ 家庭裁判所での検認は不要です。
・ 遺言の原本は公証役場に保管され、
法的効力が高く、偽造・変造の
リスクもありません。
📌 ワンポイントアドバイス:
遺言書がある場合は、開封前にすぐ
家庭裁判所や専門家に相談を。
【第4章】遺言書どおりに、相続の手続きを
夫の遺言書には「すべての財産を妻に
相続させる」と書かれていました。
その言葉に背中を押されるように、
私は一つひとつ手続きを進めました。
手続きを進める前に、
まずは【金融機関】
【法務局
(または登記を依頼する司法書士)】
【保険会社】に連絡し、それぞれの
手続きに必要な書類を事前に確認する
ことがとても大切です。
✅ 銀行口座の手続き
📌 一般的に必要な書類
・金融機関所定の相続届(記入)
・遺言書(検認済証明書付き)
・被相続人の出生から死亡までの
戸籍謄本(除籍・改製原戸籍含む)
・相続人全員の現在の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
(発行後3か月以内が一般的)
・被相続人の住民票除票
または戸籍の附票
・相続人の本人確認書類(免許証など)
・通帳、キャッシュカード
(紛失していても手続き可能)
✅ 不動産の名義変更(相続登記)
📌 一般的に必要な書類
・登記申請書
・遺言書(公正証書または検認済)
・被相続人の出生から死亡までの
戸籍謄本
・相続人の戸籍謄本、印鑑証明書
・固定資産評価証明書
・被相続人の住民票除票
・登記識別情報(権利証)や
登記済証など
✅ 株や証券の名義変更
📌 必要書類(証券会社によって異なる
が、一般的には以下)
・遺言書(検認済)
または遺産分割協議書
・被相続人の戸籍一式
・相続人の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・各社の所定申請書類
✅ 年金・保険の手続き
📌 年金
・年金受給者死亡届
(マイナンバー登録済なら省略可)
・未支給年金請求書、
請求者の本人確認書類
📌 生命保険
・保険会社所定の請求書
・死亡診断書のコピー
・死亡の記載がある戸籍謄本
・保険証券(なくても可)
・請求者の本人確認書類
・印鑑証明書
・関係を証明する戸籍
(続柄がわかるもの)
【第5章】相続税の申告について
夫の財産総額は約1億6,000万円。
配偶者が取得した分が
「法定相続分以内」か
「1億6,000万円以下」であれば、
相続税はかかりません。
📌 それでも申告は必要!
・「配偶者控除」の適用には相続税の
申告書の提出が必要です。
・税務署に申告し、控除適用で納税額が
0円になるよう記載します。
・申告期限は「相続開始を知った日の
翌日から10か月以内」です。
📌 必要書類(一例)
・被相続人・相続人の戸籍関係書類
・遺言書
・財産目録、預金残高証明書、
不動産評価資料など
・生命保険金や退職金などの資料
※ 申告内容が複雑な場合は、
税理士への相談が安心です。
【第6章】すべての手続きを終えて
夫を亡くした悲しみは、
まだ癒えていません。
でも、遺言書があったおかげで相続の
手続きを冷静に、スムーズに進める
ことができました。
📌 今回学んだこと
・遺言書は早めに専門家に相談して
作成しておくと安心
・見つけたら開封せず、家庭裁判所で
検認を受ける
・相続手続きは一つひとつ順番に取り
組めば大丈夫
・必要に応じて税理士や司法書士など
専門家に相談する
・事前に金融機関や保険会社、法務局
などに連絡して必要書類を確認する
とスムーズ
「やらなければならないことは
多いけれど、少しずつ進めていけば、
きっと乗り越えられる。」
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